唐突だけど、去年の映画ベスト1は『シン・エヴァンゲリオン』だったのね。
これはもう間違いようもなく最高なので見てくださいね。
で、次点が『ミッドサマー』でした(公開前は日本でもミッドソマーって呼んでたよね)。
ヒグチユウコさんのポスター、素敵でしたね。欲しかったな。
A24の作品はそこそこ見てて、アリ・アスター監督は『ヘレディタリー』でまじで嫌な思いをした。怖いというより、嫌悪感が強い。
でも、ミッドサマーに関しては爽快感のほうが強かった。
おそらく大多数のメンズはそう思えないし、男女関係なしに悪趣味…と取る人も多くいることは重々承知のうえで、それでもわたしにとっては間違いなく“浄化”の物語だった。
サブスクに来た当初は1日3回くらい流してたもん。
ここでは解説や考察は一切するつもりないのであしからず…なのだが、なぜそこまで惹かれたかを書いてみたい。
まず、ミッドサマーが好きだと伝えると、言われるのが「あ~お花とかかわいいもんね」っていうもの。
スリラー映画『ミッドサマー』太陽の沈まない村の“恐怖の祝祭”、気鋭監督アリ・アスター新作 - ファッションプレス
確かに。
無垢なコットンドレスに色とりどりの刺繍。絶え間ない青空の下で踊る美しい女たちの頭に咲き誇る花。
ガーリー好きのわたしには確かにたまらないし、この見え感でホラー⁉と言わせるには十分すぎると思う。真っ暗じゃないし、雨は降ってないし、黴臭さも感じなければ得体のしれない生き物もいない。
いわゆる“日本的な怖さ”とは真逆にあるような設定。
でも、実は一番わたしを惹きつけたのは、ある意味、非常に“日本的”とも言える要素だったんだじゃないかってこと。
どういうことかと言うと、わたしは昔から江戸川乱歩や横溝正史など、土着の風習が多く出てくる作品が大好きなのね。
大学では哲学専攻だけど、当然宗教学や民俗学もやったので、より、そういうものに興味を持って大人になったと思う。
ミッドサマーで描かれているのは、ハレの日のこと。
日々の暮らしを“ケ”の日として、対極の日、“ハレ”の日。
人々は日々の鬱憤をその日に晴らすために色々なことを我慢して生きてるわけよね。
そして、その待ちに待ったハレの日っていうのは、何もおめでたいことだけを指すわけじゃなくて(これには諸説あり)。
日常をぶち壊す何か、を定期的に開催することによって濁った血を抜き、集団は集団としての結束を強めたり、お互いを攻撃することなく暮らせているという話。
そしてそのハレの日には人が死んだり、血が流れたり、普段では許されないことができたりする(その日だけ乱交が許されていたくらやみ祭りなんかもそう)。
もちろん、倫理的に見たらこんなことは本来あってはいけないし、興味本位で覗くようなもんでもない。
でも実際のところ、人間の心はどこかそういう欲求が隠れていることも事実なんだと思う。
そして、アリ・アスターはそれを男女の対比としてうまく見せたと思う。
グロだとかホラーだとかの要素も確かにあるし、その目線でも十分見られる。
でも、人を惹きつけるのはそこではなく、“自分の心の中のホラー”に気付かせるところにあると思う。
これを男性が撮った、というところも含めて。
泣き声に合わせて盛り上がっていく音楽も儀式感すごくて見ものよ。
スリラー映画『ミッドサマー』太陽の沈まない村の“恐怖の祝祭”、気鋭監督アリ・アスター新作 - ファッションプレス
まだ見てない人は、ぜひ。
ミッドサマー、プライムビデオ配信を記念して監督からのお言葉を頂きました。 pic.twitter.com/xuSFts5nkc
— もつれら (@mtmtsf) 2021年8月24日
A24では『聖なる鹿殺し』もかなり良かったので改めて書けたらいいな。