失語

市井に生まれ、そだち、生活し、老いて死ぬまで

体型について

体型について思い返すと、世間の基準的に“太っていた”期間て、生まれてから一回もない。

薬の影響でむくんでたときはあれど、常に低体重だった。
健康診断でもいつも低体重でC判定。

二十歳くらいまでは本当に「細いね~」って言われることばかりで、自分でも実際そうだよな、と。
ずっと運動部だったから筋肉はあって、棒みたいな細さではないが細身、というか。もちろん好きじゃない部位もあったが、そんなにコンプレックスに思うようなこともなく過ごしてたんだよね。
服も絶対XSか5~7号が当たり前で。

 

そんな自分が、初めてまともに体型にコンプレックスを持ったのは服屋の販売員になったとき。

細いなんてもう当たり前なんだよね。
今はSNSの普及もあってボディシェイミングが問題視されてるけど、そのときは“服を売ってる人が太ってるなんてあり得ない”って口に出して言うのは何らおかしくなかったんだよね。

細いのは大前提。
更に、そこそこ身長があって、手足や首が長くて、胴が短くて、顔が小さくて…っていうのを、お客さんはおろか会社の人間ですら普通に販売員に要求するような感じ。
もはやそれが当たり前、というか。「○○日までに○○キロ痩せな!」とか言われてる人を見たのも一度や二度じゃない。
それがここまで体型に言及するのはタブーでしょ!ってなったのは純粋にすごいし、感動する(内情はまだまだあるんだろうけどね)。

 

ただ、正直、服を売るって、憧れも売ってるようなところがあるから、どんな人でも着られる・似合うが必ずしも商売として成功するのかって言ったら、違うと思う。

誤解を恐れずに言えば、購買意欲ってやっぱり「こうなりたいな」って思うほうが湧くものだとは思う、自分にしても。
だからこそ今の時代服を売るってとても難しいよね。
侮蔑するのは当然NOだとしても、こういう体型がかわいい、なりたいと思っちゃう気持ち自体は止められないからね。

 

話が逸れた。

そんな、周りもみんな細いのが当たり前の状態でさらにプレスなんかになったから、余計に「自分てみっともないな…」って思う場面が増えて。

女優とかモデルとしょっちゅう仕事するような毎日。
彼らはそれで食ってるし、そういう体型のDNA+努力でそれをキープしてんだから、比べるのもおかしいんだけどさ。並んだり目の前にするとどうしてもシュン、としちゃうことも多くてね。その時は歳も近かったしね。
自分の圧倒的敗者感に加え、わたしの場合低体重でも結構肉々しいのよね。写真で見ると余計感じる。

そのあたりから何となく、「自分はどう頑張ってもこれだし、仕方ない」っていう若干諦めと言うか。好きなパーツはあれど、どうやっても思い描いてるスタイルにはなれないんだな~って。
他の職種の人より相当強くルッキズムに晒されてたんだな、と今になって思う。顔出しとか許可もクソもなく、当たり前だったからね。

 

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『脂肪という名の服を着て』安野モヨコ 名著です

安野モヨコ 公式ブログ - “痩せる=幸せになる”? - Powered by LINE

 

そんな状態で長いこと過ごしてた。
加齢もあって、多少体型が崩れるのも当たり前だし、大幅に太らなきゃなんでもいいでしょ、くらいしか思わず。
今さらダイエットだーボディメイクだーって、多少のつじつま合わせはするけど本気でやるような気には到底ならん、とそう思っていた。

 

 

きんに君に出会うまでは。

まさかの。(つづきます)